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Jonah Freeman “1955”, 2006 digital c-print 47 x 61 inches
via: un regard lubrique : FOR THE PEOPLE OF PARIS
出井 アメリカは、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」のときに日本をさんざん叩いて、「脱・ニッポン」と国策の方針をまったく変えたわけですね。それがその後の冷戦の終結と相まって、今のアメリカを支えるIT産業の戦略であり、金融戦略となった。
ITで言えば、アマゾン、イーベイ、グーグル、ユーチューブ。他にも多々ありますが、世界に飛び出るベンチャーが出てきましたよね。
日本にはそれに匹敵する世界企業って1社も出てない。強いて言えば楽天やソフトバンクや他にも頑張っているベンチャーが存在していますが、残念ながら世界で展開するネットの会社はなかなか見当たらない。
極端に言ってしまえば、アメリカが元気に世界的企業を生み出してきたのに対し、日本はまったく何もできなかったということです。だから、日本がモノづくりが好きだとか、匠の技だとか、メディアでも色々と特集をやっていますけど、あれは1980年代の「モノづくり」なんです。何度も言いますが(笑)。その後は何もできていないんです。
出井 「過去という夢」を見ているわけね。日本人っていうのは、相当若い人たちでも、昔をリファーするのが好きな国民ですよね。飲み会なんかに行くと、20代の子でも「あの頃は良かった」なんて話を結構している。
世界が変わるという節目であり、アジアを中心とする国々がグローバリゼーション(グローバル化)に向かって大きく成長しているというのに、日本の企業はついていけるのか気になります。
―― 1990年代を通じて「コールド・ジャパン」現象が一気に高まったということですね。
出井 中国に行くと「日本の90年代の失敗は繰り返すな」という記事はかなり出ていますよね。
僕も何度か言われたのですが、中国人がまじめの顔をして、「出井さん、日本では行き先のない道をつくっている、って本当ですか」と(笑)。どういうことかと尋ねると、県道と国道が並んでいて車が1台も走ってない道があるんですよね、と。その行き先に何か小さなエアポートがある、と。このまねだけはするまいと中国の人たちが言っているそうです(笑)。
―― 「行き先のない道」・・・寂しい表現ですね。高度成長で頂点に達して、行き場がない道をつくらされているような仕事ばかりが増えてきた。
出井 Road to nowhere。そんな道は日本の象徴じゃないですか。一生懸命やって成長していると嬉しいですよね。ところがみんな成長しなくなっちゃったから。
―― 1980年代が黄金期で、しかし「凋落の原点」だと。
出井 ひどいですよ、今の日本のコンシューマーに対する企業の姿勢は。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」から90年代前半を通じて日本が失敗し、90年代の後半には日本は全体に鬱屈してしまったような気がします。あなたたちはこの連載で「巣ごもりニッポン」と言っているらしいけど、これがどこに篭もっているかというと、結局、自分の許認可商圏の中に閉じこもったわけですね。
―― 確かに1950年代の日本の高度成長期から上りつめていく激動のプロセスの頂点が1980年代なのでしょうね。
出井 経済産業省もあのような応援歌があるくらいですから、いまは現代に即して、「脱・東京」電力ということで地域発電所みたいなのはやめてグローバルな電力メーカーとして競争してみろ、と方策を打ち出すべきです。
卑近な例ですが、僕もうちを建てて床暖房にしようと思ったんですよ。そうしたら当然、地域独占になっている。だから値切れない(笑)。
―― 確かに。複数の事業者から選ぶことはできないし、もちろん値切る交渉もできない。
出井 選べないです。日本では金融の仕組みも3大メガバンクに集約してしまった。日本の1980年代、要するに「ジャパン・アズ・ナンバーワン(注8)」、ここで成功体験をしてしまった。ところが、そこでオーバーファイナンスで不良債権を起こしたと散々言われているうちに競争がなくなっちゃった。
3大メガバンクになって素晴らしいと思っている人がどれだけいるか。銀行からの個人手数料は高いのに競争原理も働かない。3つになってどうだったかのレビューもないですよね。